「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」に係る専決処分及び住民訴訟について

「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」に係る市の専決処分と、専決処分に関する住民訴訟の判決確定までの一連の流れについて御説明します。

「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」について専決処分しました(平成22年10月13日)

 市では、平成22年10月13日、北総鉄道運賃値下げ支援補助金2,363万2千円を内容とする平成22年度白井市一般会計補正予算(第4号)を、地方自治法第179条第1項により専決処分しました。

 本件については、去る9月議会に追加上程しましたが、審議未了・廃案という結果でした。これは、議長を含めた議員の賛否が完全に同数であることにより議決に至らないまま、審議未了となったものです。

 市では、これまでの経緯及び今回の議決状況などを慎重に検討しましたが、今後も、議会の構成に変化がない限り、市議会においては、同様に議決がされないものと客観的に認められると判断しました。
 よって、地方自治法第179条第1項の専決処分の要件の一つである、「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に該当するものとして専決処分を行ったものです。

 今回の専決処分については様々な意見があるところですが、長年、北総線利用者は値下げを求めてきたものであり、値下げ幅はわずかですが、今回の合意を壊して新たに得られるものはなく、また、次のことからも妥当なものと考えています。

  1. 昨年11月30日に締結した北総線の運賃値下げに係る合意に基づき、北総鉄道は、既に本年7月17日から運賃値下げを実施していること。また、8月中には白井市を除く自治体では補助金の交付を実施しており、本市においても速やかな対応が求められていること。
  2. 北総鉄道株式会社から6月に届いた文書では、白井市が補助金の交付をしない場合、運賃が値下げ前の認可運賃レベルに値上げせざるを得ないとされており、これは、白井市民のみならず、北総線沿線の多くの住民、あらゆる北総線利用者、とりわけ、通学定期券を利用される学生・生徒を持つ家庭の家計に大きな影響を与えることとなり、かかる事態は何としても回避すべきと考えること。また、今回の補助金支出については、これまで市単独で行ってきた通学助成制度と比較しても、費用対効果が大きく見込めるものであること。
  3. 今回の北総線の運賃値下げに係る合意には、自治体が連携し、北総線の利用者の増加を図るため、利用促進のための協議会の設置が明記されており、まちづくり・賑わいの創出、若年層の地域離れの抑制、高齢者の鉄道利用促進などの施策を講じることとされておりますので、今後とも、沿線自治体が連携・協同してかかる事業に取り組むことにより、更なる北総鉄道運賃の値下げに向けた取り組みをしていく必要があると考えていること。

以上、市では今後も引き続き沿線自治体と連携し、さらなる運賃値下げに向けて、推進していきたく、市民の皆様のご理解をいただきたいと考えています。

専決処分とは

条例や予算など、本来、議会の議決を経なければならない事項について、地方公共団体の長が地方自治法の規定に基づき、自ら処理することをいう。

 専決処分ができるのは、

  • 議会が成立しないとき、
  • 議長又は議員が親族の従事する業務に直接利害関係があるため等の除斥事項に該当する場合においてなお会議を開くことができないとき
  • 緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないとき
  • 議会において議決すべき事件を議決しないとき

 です。

地方自治法第179条第1項

 普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。

これまでの経緯

平成21年11月30日付け

千葉県及び沿線6市は京成電鉄、北総鉄道と北総線運賃を成田新高速鉄道開業に合わせ、約5パーセント値下げすることで合意書に調印した。

平成22年3月、6月

白井市議会定例会に予算案を提案するも反対10、賛成9の採決結果により否決された。(議員定数21名:1名欠員、議長は裁決に参加できないため19名の採決)

平成22年6月11日

北総鉄道は、「白井市の補助金が欠けることとなった場合、可及的速やかに実施運賃を値上げせざるを得ない」と書面により通知してきた。

平成22年7月17日

北総鉄道は、成田新高速鉄道開業時に合意の履行である運賃値下げを実施した。

平成22年8月30日

北総鉄道から、運賃値下げ補てんに係る補助金等の支払い請求書が送付された。

平成22年8月31日

請求書の送付を受け、北総鉄道に支払い猶予の書面を送付した。

平成22年8月末確認

千葉県及び白井市を除く沿線5市は、予算化していた補助金の支出を行った。

平成22年9月28日

白井市議会9月定例会会期最終日である28日に補正予算案を提案したところ、議長が「議案への討論をしたい」と申し出議長席を降り、仮議長の選出を巡って議会はしばしば中断し、議長不在のまま翌29日午前0時を迎え、議会は流会、予算案は廃案となった。

事実上賛否が10対10の同数となる

平成22年10月13日

市議会において、補正予算の採決が行われないことにより、地方自治法第179条の規定に基づく専決処分を行い、「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」が予算化された。

「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」専決処分に関する住民訴訟における控訴について(平成25年4月4日)

平成25年3月22日に千葉地方裁判所において言い渡しがありました「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」の専決処分に関する住民訴訟の判決につきましては、法解釈および事実認定に誤りがあることから、裁判において再度司法の判断を仰ぐ必要があると考えました。

 4月3日に行われた市議会臨時会において、控訴に必要な費用を「白井市一般会計補正予算(第2号)」として議決いただきましたので、4月4日に東京高等裁判所宛ての「控訴状」を提出いたしましたのでお知らせします。

「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」専決処分に関する住民訴訟における控訴審判決の対応(平成25年9月5日)

平成25年8月29日、東京高等裁判所におきまして、損害賠償等を求める請求事件(北総鉄道運賃値下げ支援補助金をめぐる住民訴訟)の控訴審判決の言渡しがありました。

判決は、残念ながら市の主張が認められない控訴棄却というものでした。

判決を受け、市訴訟代理人から直接受けた、説明や意見も踏まえ、判決文の内容を慎重に検討した結果、判決は非常に重いものと受け止め、上告をしないことといたしました。

平成25年9月5日

「北総鉄道運賃値下げ支援補助金」専決処分に関する住民訴訟の判決確定について(平成26年1月15日)

平成25年8月29日、東京高等裁判所における、損害賠償などを求める請求事件(北総線運賃値下げ支援補助金をめぐる住民訴訟)の控訴審判決を受け、横山久雅子氏が補助参加人として最高裁判所に上告および上告受理の申し立てを行いましたが、1月15日付け、上告棄却および上告不受理の決定がなされた旨、同裁判所からの通知を受理しました。
この判決確定を受けまして、今後は地方自治法の規定に基づき、手続きを進めてまいります。

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