離乳食のすすめ方

そろそろスタート

離乳食開始の目安となるサイン

生後5~6か月頃が開始の目安です。次のようなサインがみられたら離乳食を始めてみましょう。

  • 首のすわりがしっかりとして寝返りができる
  • 5秒以上すわれる
  • スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
  • 食べ物に興味を示している
赤ちゃんと両親

子供の発育発達には個人差があるので、月齢は目安としてとらえ、お子さんの「食べたがっているサイン」を良く観察しましょう。

家族の食事の様子を見せてあげることで、食べ物に興味を示すようにもなっていきます。

 

Q. アレルギーが心配です。離乳食の開始を遅らせてもよいですか?

A. 厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、「離乳の開始や特定の食物の摂取開始時期を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない」としています。すでに何かしらの症状がある場合はかかりつけの医師に相談をし、指示に従いましょう。

 

離乳食の基本

≪まずは基本をおさえて!≫

離乳食で与える食材は、加熱をしっかりしましょう

       加熱をすることで、万が一の食中毒やアレルギーの発生リスクを抑えます。

◎食材は新鮮なものを選び、調理の前は必ず手をよく洗い、食べ残しは与えないでください。

◎調理するときは、お子さんの月齢や食べる機能の発達に合ったかたさや大きさにします。

無理強いはしません。『食事は楽しいこと』を感じさせてあげましょう。

◎素材やだしの風味を活かしたうす味が基本です。 

    (調味料が使えるようになるのは9か月頃からです。)

 

離乳食の進め方
【離乳食形態のすすめ方イメージ】
【離乳食のかたさ・大きさ目安一覧】
【だし】
だし

 

 

≪子供にあげるの、ちょっと待って!≫

注意マーク

◎ ハチミツやハチミツ入りの食品は、乳児ボツリヌス症の原因となるため、1歳になるまでは与えません。

◎ 生ものや刺激の強いもの(香辛料など)は与えません。

◎ 牛乳を飲み物として与えるのは1歳を過ぎてから。

(料理の素材として加熱をした牛乳は、中期から使えます。)

◎ 基本的に0歳児にはおやつは必要ありません。

 

 

≪スプーンの使い方≫

離乳食を与えている様子

1.食べ物をのせたスプーンを正面から口元にもっていき、下唇にやさしくあててあげる。

2.赤ちゃんが上唇で取り込むのを待ち、スプーンを引き抜く。

~ポイント~

◎食べさせる用のスプーンは、柄が長く、丸み(くぼみ)が浅い離乳食用のものが最適です。

    自分で持ちたがる場合には、柄が太く、短いものを与えます。

◎「おいしいね」「上手にごっくんできたかな?」など、ゆったりとしたペースで声掛けをしながら

    与えましょう。

(ペースが早すぎると丸のみを覚えたり、横から与えると片側にかみ癖がつきやすくなる場合もあります。)

 

 

初期 5~6か月頃

≪離乳食初期の目的≫

  母乳又は育児用ミルク以外の食べ物を飲み込むこと、その舌ざわりや味に慣れるためのお試し期間です。

 

≪初期の離乳食のポイント≫

1日1回食

この時期の離乳食は1日1回です。栄養の主体は母乳又は育児用ミルクからとなるため、離乳食を始めてもしばらくの間(7か月頃まで)は、授乳は今まで通りに3~4時間間隔を目安に欲しがるだけしっかりと与えます。

 

初めての食品は1日1種類だけ / 離乳食時間は午前中がおすすめ

初期は初めて食べる物ばかりです。万が一体調が急変した場合に受診しやすい、午前中の時間帯に離乳食時間を設定しましょう。

 

味付けは必要ありません

調味料は使わずに、素材そのものの味を活かします。食材をペースト状にする際に、昆布だしや野菜だしなどを少量使うと、なめらかさを調整することができます。

 

 

赤ちゃんの食べ方の様子をみながら、あせらずに。
赤ちゃんにミルクを与える

最初のうちは、離乳食を口からこぼしたり、スプーンを舌で押し返したりすることもありますが、慌てず気長に続けていきましょう。

口を閉じて嫌がるときや、授乳を求めてぐずり出す場合は、無理をせずに日を改めてチャレンジしましょう。

 

≪初期の離乳食の進め方≫

10倍かゆのすりつぶし

1. なめらかにすりつぶした10倍かゆを離乳食用のスプーン1さじからはじめます。

    食べられるようなら1~2日ごとに1さじずつ増やしていき、1~2週間かけて慣らしていきます。

野菜のペースト

2. 2週間目より、1.のおかゆの他に、芋類や野菜類をやわらかく煮たものをペースト状にして与えます。

    初めてのものは1さじから、1日1種類のみにします。

    食べたことのあるものであれば、複数の種類の芋や野菜を同時に与えても構いません。いろいろな芋類、野菜類を試していきましょう。

 

 

たんぱく質ペースト

3. 3~4週間目(生後6か月以降)を目安に、たんぱく質の食べ物をはじめます。

    つぶした豆腐・白身魚・かたゆでした卵黄などと種類を増やしていきます。

    初めてのものは1さじから、1日1種類のみにします。

 

 

※初期の形状について

初めは裏ごしをしたなめらかなペースト状(ヨーグルトくらい)ですが、お子さんの食べる様子をみながら、徐々に裏ごしはせずに、すりつぶす程度に中期に向かって形状を進めていきます。

 

 

中期 7~8か月頃

離乳食は1日2回にして、生活リズムを整えていきます。

食事量を徐々に増やしていきますが、栄養の主体はまだ授乳からとなります。

母乳又は育児用ミルクは4~5時間間隔を目安に、食後の授乳も含めて1日5回程度、欲しがるだけしっかりと与えます。

 

 

≪中期の離乳食のポイント≫

食材の形状

舌でつぶせるかたさ(豆腐くらいのかたさ)が目安です。とろみをつけると飲み込みやすくなります。

主食のごはんは、粒を少し残した7倍がゆ~5倍がゆ(全かゆ)を与えます。

形状は急に変えるのではなく、今までの形状の中に一部次の段階の形状のものを増やしながら、ステップアップしていきましょう。

離乳食中期1食分の例

 

 

味付けについて

素材そのものの味や、だしの風味を活かします。だし汁はこんぶや野菜の煮汁の他、かつお節や煮干しなども使えるようになります。また、調理素材として牛乳を加熱してミルク煮などどして使うことができます。

調味料は基本的にまだ使いません。離乳食レシピなどで調味料が載っている場合、使用する量は極少量にしましょう。

食品の種類を増やすと共に、いろいろな風味や舌触りを体験させてあげましょう。

 

 

後期 9~11か月

栄養の主体は母乳又は育児用ミルクから離乳食へ移っていきます。

9か月に入ったら離乳食は1日3回とし、食欲に応じて、離乳食の量を増やしていきましょう。

離乳食後の母乳又は育児用ミルクのほか、授乳のリズムに沿って、母乳は欲しがるだけ、育児用ミルクは1日2回程度与えます。

 

 

≪後期の離乳食のポイント≫

食材の形状
バナナ1切れを指先でつまんでつぶそうとしている写真

歯茎でつぶせるかたさ(バナナくらい)で、5~8mm角の大きさが目安です。

主食のごはんは5倍がゆ(全かゆ)から軟飯に進めていきます。

離乳食後期1食分例

 

 

意識してとりたい栄養素
鉄分の多い食材

特に母乳中心に育ったお子さんは、鉄分が不足しやすい傾向にあります。

赤身の魚(まぐろやかつおなど)や赤身の肉、レバー、卵黄、大豆製品、青菜(ほうれん草など)等、鉄分を多く含む食材を意識して離乳食メニューに取り入れましょう。育児用ミルクやフォローアップミルクを調理素材として使っても補いやすいです。

 

 

味付けについて

今まで通り素材の味とだしの風味を活かしたうす味が基本ですが、調味料(砂糖、塩、しょうゆ、みそ、ケチャップ、バターなど)を少量から使うことができます。

 

 

手づかみ食べ

手づかみ食べで散らかすあかちゃん

後期に入った頃は、自分で食べたい意欲がでてくる時期です。離乳食メニューの中に1~2品程度でよいので、手づかみしやすいものを用意してあげましょう。

ただし、お子さんは一口量の加減がわからずに口の中にたくさん詰め込んでしまったり、誤嚥などの事故も起こりやすい時期ですので、お子さんの食事は必ず保護者が見ているところで進めましょう。

 

手づかみ食べはやらせないといけないの?

手づかみで食べ物を触ることで、食べ物への関心や食べる意欲が高まり、自分で食べる楽しさを体験していきます。

また、硬さ柔らかさ、温度、感触などを意識し、力加減を学習していくなど、手づかみ食べは子どもの発育・発達に必要な行動です。手づかみ食べが上手になると次第にスプーンやフォークも使えるようになっていきます。

中には慎重な性格のためか、なかなか手が出てこないお子さんもいると思いますが、無理に手づかみをさせる必要はありません。家族が手に持って食べる様子を見せてあげるとよいですね。

また、手づかみすると遊びだしたり、散らかって汚い、時間がかかるからと、手づかみの機会を与えないと、お子さんは自分で食べる意欲をなくしてしまうこともあります。余裕のある時だけでもよいので、後片付けがしやすいように下に新聞紙を敷いておくなどの準備をして、自由に食べる機会を与えましょう。

 

手づかみ食べのポイント

スティックにんじんとかぼちゃのおやき

◎手づかみ食べがしやすいメニューを取り入れてみる。

        持ちやすい長さ〔6~7cm位〕のスティック状に切ったゆで野菜など。

◎誤嚥しやすく、喉に詰まりやすいものには注意!!

        球状のもの(ぶどう、ミニトマトなど)は1/4に切って与えましょう。

        パンなど口の中で水分をとられやすいものは、小さくちぎって与えます。

 

 

完了期 12~18か月頃

1日3回の食事リズムが整い、エネルギーや栄養素の大部分が食べ物からとれるようになってきます。母乳やミルクは欲しがらなければ与えずに卒乳に向かいます。

母乳やミルクを欲しがる場合には与えますが、食事の前には与えないなど、できるだけ空腹の状態で食事に向かわせることも大切です。外出で気分を変えてみたり、手遊びうたなど体を使った遊びをしてみるなど、興味を授乳以外に持っていくように促し、頻回の授乳で食事量に影響することがないように注意しましょう。

 

 

≪完了期のポイント≫

栄養のバランスを意識します

主食、主菜、副菜をそろえて食事バランスを意識し、いろいろな食品がとれるよう工夫しましょう。

    主食(エネルギー源となる炭水化物) : ごはん・パン・麺類・芋類など

    主菜(筋肉や血液などを作るたんぱく質) : 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など

    副菜(体の調子を整えるビタミン、ミネラル類) : 野菜・きのこ・海藻・果物など

バランスのよい食事とは

 

 

食材の形状

歯茎でかめるかたさ(肉団子くらい)で」、1cm角が目安です。

主食のごはんは軟飯から普通のごはんに進みます。

離乳食完了期1食分例

 

 

1日1~2回の「補食(間食)」を必要に応じて与えます
完了期の間食

この時期の子どもの胃はまだ小さく、3回の食事だけでは成長発達に必要なエネルギーや栄養素、水分が十分にとりきれないことが多いです。それらを補う目的で「補食(間食)」があります。

  1.おにぎり、芋類、牛乳・乳製品、果物などがおすすめです。

  2.次の食事に影響しないよう、時間と量には気をつけましょう。

市販のお菓子やジュースなどの甘いものはくせにならないように特に注意が必要です。欲しがるからとぐずる度に与えていると、「ぐずればもらえる」と悪循環になりかねません。簡単には与えないようにしましょう。

 

 

牛乳・乳製品について

1歳をすぎると、まとまった量の牛乳を飲めるようになります。

牛乳・乳製品の目安量は、1歳半のお子さんで1日に200~300ml程度(子供用コップ1~2杯程度)です。他の食事に影響しないように牛乳・乳製品のとりすぎには注意しましょう。

アレルギーや体質にあわない場合は無理に与える必要はありません。

 

 

取り分け離乳食

~家族のごはんと一緒に作ろう!~

大人用の料理から取り分けて赤ちゃん用にアレンジをする“取り分け離乳食”。

一から離乳食を作るよりも簡単で、家庭の味を一緒に楽しむことができます。

 

~取り分け離乳食を作るコツ 1・2・3~

1.赤ちゃんに合った食材を使って、大人の料理を作る

      赤ちゃんの月齢に応じて食べられる食材を選びましょう。

2.取り分けるタイミングをつかむ

      「下ごしらえの段階」「調理の途中」「味付けをする前」「出来上がってから」など、食材や料理によって、

      取り分けるタイミングを選びましょう。

3.赤ちゃんが食べやすい調理・味付けをする

      取り分け後、うす味を基本に、刻んだりつぶしたりするなど、食べやすくしましょう。

      味が染み込んだ出来上がりのものを取り分ける場合は、お湯などでゆがくとよいでしょう。

 

 

その他離乳食Q&A

Q. 離乳食を食べてくれません。どうしたらいい?

A. 食事時間は20分位、長くても30分程度で切り上げましょう。食べないからと長時間かけると、かえって食事時間が苦痛となり食事が進まない原因となります。少量でも食べることができたらほめてあげましょう。

また、もしかしたら授乳と食事のタイミングがあっていないのかもしれません。離乳食の時間を変えてみたり、家族の生活リズムもあわせて見直してみましょう。

食事時間におなかが空くように、外出や手遊び歌など体を使った遊びをしてあげることもおすすめです。

 

Q.量の目安がわかりません。

A.ホームページの【離乳食のすすめ方】や母子手帳に離乳食の1回量の目安表が載っていますので参考にしてみて下さい。ただし表に記載のある通り、食べる量は個人差が大きいので、本人の食欲や成長・発達に応じて調整しましょう。

目安量どおりでなくとも、初期・中期は授乳をしっかりと与え、後期以降は徐々に食事量を増やし、身長・体重の増え方が成長曲線に沿っていれば、心配ありません。

 

Q.口の中にたくさんつめこんでしまい、飲み込むことができずに出してしまいます。

A.輪切りの人参や俵型にした軟飯のおにぎりなど、口幅より少し大きめのものを用意して、保護者がお子さんの口元に持っていき、かじりとらせて一口量を覚えさせてあげましょう。

また、食欲旺盛なお子さんの場合、目の前に多くの食品が置いてあると次々と口の中に入れてしまいがちです。早食いにならないよう注意し、食品は食べたものを飲み込んだのを確認した後、少しずつ出すなどの工夫もよいでしょう。

 

Q.水分補給に麦茶を与えてみても、ほとんど飲みません。

A.とくに離乳食初期~後期頃のお子さんは定期的な授乳と離乳食で水分もとれているので、麦茶や白湯などは飲まないことのほうが多いです。まとまった量をのむようになるのは1歳過ぎてからです。

◎普段の水分補給は、うすめた麦茶や白湯が基本です。

◎離乳食や授乳後、授乳と授乳の合間やお風呂上りなどに、スプーンでひとくちふたくち程度の量でよいので、麦茶や白湯を与えて慣らしていきます。

◎果汁やイオン飲料など甘みはくせになりやすいので注意が必要です。体調不良時に医師からイオン飲料をすすめられた場合も、体調が回復したら控えてください。

◎コップのみやストローのみも試していきましょう。(目安として9か月頃~)

 

Q.上手にもぐもぐできないため、いつまでたっても形状が進みません。

A.もぐもぐが上手にできないと感じるのは、形状が小さすぎるためにお口を動かす必要がなく、そのまま飲み込んでしまっている可能性があります。

お子さんのお口はどんどん発達していきます。ある程度の大きさがないと、咀嚼が上手にできません。お口を動かすことで、消化吸収機能も発達していきます。

ホームページの【離乳食かたさ・大きさ目安一覧】【離乳食形態のすすめ方イメージ】を参考に、月齢にあった形状のものを少しずつでよいので与えてみましょう。